研究実績

就活生はAIに相談する。AI時代に企業が見直すべき採用広報

就活生はAIに相談する。AI時代に企業が見直すべき採用広報

先日、久しぶりにセミナーを主催しました。タイトルは、
「AI時代の採用戦略 ~求職者(就活生)はAIに相談する。この時代、企業は何を変えるべきか~」。

生成AIの普及により、新卒採用は大きな転換期を迎えています。AIが企業情報を検索・整理し、就活生の企業比較や意思決定を支援する場面が増える中、企業には、AIにも就活生にも誤解なく伝わる情報発信が求められるようになってきました。

重要なのは、小手先のテクニックではありません。就活生が実際に抱く質問から逆算し、企業理念、事業内容、仕事内容、働き方などの公式情報と、社員の具体的な経験を一次情報として整理し、継続的に発信していくことです。

今回のセミナーでは、株式会社Livelyから、AI時代の採用広報と一次情報の収集・発信に取り組むお二人を特別講師としてお招きしました。株式会社Livelyは、「聴く」を起点に、企業や社員が持つ経験、仕事への想い、組織の実態を深く掘り下げ、採用や教育に生かしている会社です。

AIが企業情報を整理し、求職者へ伝える時代には、企業が発信する一次情報の量だけではなく、その具体性や質が重要になります。同社は、専門的な「聴く」力を生かして社員の経験や企業の実態を引き出し、AIにも求職者にも伝わるQ&Aやインタビュー記事などの採用コンテンツへ展開しています。現在は、AIO・LLMOをはじめとするAI時代の新しい採用広報にも、いち早く取り組んでいます。

セミナーで扱った5つのトピックス

今回のセミナーでは、AI時代の採用活動について、次の5つのトピックスを取り上げました。

1.AI時代に、就職活動はどう変わるのか

生成AIは、エントリーシートを作成・添削するための道具として使われるだけではありません。自己分析、企業研究、企業比較、面接対策など、就職活動のさまざまな場面で活用され始めています。AIが就活生の「作業を手伝う存在」から、「一緒に考える存在」「相談する存在」へと変わることで、企業選びにもどのような影響が生まれるのかを考えました。

2.AIは、企業をどのように理解し、紹介しているのか

就活生がAIに企業について質問したとき、自社はどのように説明されるのでしょうか。

企業が伝えたい魅力は、AIの回答にも反映されているのか。情報が不足していたり、古かったり、実態とは異なる理解をされたりしていないか。実際の回答例も確認しながら、AIから見た企業情報について考えました。

3.企業は、どのような情報を発信すべきなのか

「風通しの良い会社です」「若手が活躍しています」「成長できる環境があります」

採用サイトでよく見かける表現ですが、これだけで企業の実態や他社との違いは伝わるのでしょうか。

AIにも就活生にも自社を誤解なく理解してもらうために、どのような情報が必要になるのかを取り上げました。

4.就活生の質問から、必要な情報をどう考えるのか

企業が伝えたい情報と、就活生が知りたい情報は、必ずしも同じではありません。

就活生は何に疑問や不安を感じ、何を基準に企業を比較しているのか。

企業側の視点だけで採用広報をつくるのではなく、就活生が実際に抱く質問から必要な情報を考えるという視点を紹介しました。

5.社員の経験を、採用広報にどう生かすのか

会社の制度や仕事内容を説明する公式情報と、社員一人ひとりの具体的な経験。この2つを組み合わせることで、企業の実態は伝わりやすくなります。社員からどのような話を聴き、その内容をQ&Aやインタビュー記事などの採用広報へどう生かしていくのか。その考え方と可能性を取り上げました。

数日で満席になったセミナー

募集を始めると、セミナーは数日で満席になりました。採用担当者だけではなく、広報担当者や経営者からも参加希望がありました。多くの企業が、「AI時代の採用活動について、何か動かなければならない」と感じているのだと思います。

企業側がAIをどのように使うのかに関する情報は、少しずつ増えています。採用業務の効率化、求人原稿やスカウトメールの作成、エントリーシートの確認など、企業がAIを活用できる場面は数多くあります。

ただ、今回のセミナーで注目したのは、企業側のAI活用だけではありません。変わっているのは、学生や求職者が企業を探し、調べ、比較し、応募先を決める方法です。

AIは、就活生の「相談相手」になり始めている

これまで、就職活動における生成AIの活用というと、エントリーシートや履歴書の作成・添削が注目されてきました。現在は、それだけではありません。自己分析をする。自分に合う仕事を考える。企業を調べる。複数の会社を比較する。面接の準備をする。内定先を選ぶ。

就職活動のさまざまな場面で、AIが使われるようになっています。たとえば、学生がAIに次のように相談することも考えられます。

「自分の経験や希望に合う会社を教えてください」

「A社とB社では、どちらが自分に合っていますか」

「この会社で若手が成長できる理由を教えてください」

「働きやすさや社風について、他社と比較してください」

AIの回答だけで応募先が決まるわけではありません。ただ、その回答が、学生の企業理解や比較、応募先を考える際の判断材料になる可能性があります。企業が学生に直接説明する前に、AIの回答によって企業の印象がつくられる。

採用広報の勝負は、説明会や選考が始まってからではなく、応募前の情報収集の段階から始まっています。

AI時代の採用広報は、「AIを使うこと」から始めない

「生成AIを採用活動にどう取り入れればいいのか」

企業の採用担当者や広報担当者、経営者の方と話していると、このような相談が増えてきました。もちろん、企業側がAIを活用することも重要です。ただ、AI時代の採用広報を考えるとき、最初に確認したいのは、「どのAIツールを導入するか」ではありません。

自社の情報が、就活生にもAIにも正しく伝わる状態になっているかどうかです。社内に魅力的な仕事や社員がいても、その情報が外部へ公開されていなければ、AIにも就活生にも十分には伝わりません。

公開されている情報が抽象的だったり、古かったりすれば、実態とは異なる理解をされる可能性もあります。AI時代の採用広報で求められるのは、AIに良く見せるための情報をつくることではありません。自社の仕事、働き方、成長環境、魅力、難しさについて、就活生の疑問に答えられる情報を整えることです。これは、AIが登場する前から必要だった採用広報の基本です。AIの普及によって、その重要性がさらに高まっています。

参加者から寄せられた声

セミナー後、参加者からさまざまな感想をいただきました。

「学生が就活そのものをAIに相談するという視点を、全く持っていなかった」

「単に『風通しが良い会社』と伝えるのではなく、具体的な事例が重要だと分かった」

「自社の採用広報や採用ホームページを見直すヒントを得られた」

「採用担当だけではなく、社内の広報担当にも聞いてもらいたい内容だった」

「まずは会社の一次情報を充実させていきたい」

「AIを活用する層から応募を受けることが少ないため、これまで意識していなかったが、時代の変化に伴い、向き合わなければならない課題だと感じた」

AI時代の採用広報は、IT企業や一部の先進的な企業だけの課題ではありません。現在の応募者がどの程度AIを使っているかにかかわらず、求職者が企業を知り、調べ、比較する情報環境が変わっていることを前提に考える必要があります。

「AI対策」ではなく、選ばれるための情報づくり

大切なのは、「AIに選ばれる企業になること」ではありません。AIにも就活生にも、自社の実態や魅力が誤解なく伝わる状態をつくることです。そのために、まずは次のような問いを自社に投げかけてみてください。

自社について、AIはどのように回答するのか

就活生が知りたい情報は公開されているのか

他社と比較されたとき、自社の特徴は具体的に説明されるのか

社員が経験している仕事や成長の姿を、社外から確認できるのか

企業側だけで考えていると、自社の情報に何が不足しているのか、どの表現が分かりにくいのかに気づきにくいことがあります。

採用研究所では、就活生の行動変化と企業の採用活動の両面から、AI時代に必要な採用広報の整理や、公開情報の棚卸しを支援しています。

「自社の場合、何から始めればよいのか」

「採用サイトや採用広報を、どのように見直せばよいのか」

「AIが自社をどのように説明しているのか確認したい」

「社員の経験を、採用広報に生かせる一次情報として整理したい」

このような課題を感じている方は、ぜひ採用研究所にお声がけください。

今回のセミナーには、定員を超える参加希望をいただきました。参加できなかった方も多かったため、別日程で追加開催を予定しています。詳細が決まりましたら、改めてご案内します。

AI時代の採用広報について理解し、自社が何から取り組むべきかを考えたい方は、ぜひご参加ください。

採用研究所代表 谷出正直

採用研究所HP及び連絡はこちらから


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