
企業の採用担当の方に、あまり意識されていない事実がある。
学生にとって、就職活動は人生で最初の本格的なキャリア教育の場である。
大学の授業よりも、キャリアセンターの面談よりも、模擬面接よりも、実際の選考のほうが、学生の職業観に強い影響を与える。
自分は何がしたいのか、何ができるのか。
その問いに本気で向き合うのは、多くの場合、選考で問われたときが最初だ。
ということは、企業の採用担当者や面接官、リクルーターは、意図せずキャリア教育の担い手になっている。
この視点を持つと、選考の振る舞いが変わる。
不合格になった学生にも、選考が「考える材料」を残せたか。
圧迫的な問い詰めは、その学生の職業観に何を刻むか。
逆に、良い問いを渡された学生は、他社の選考でも成長して戻ってくる。
きれいごとに聞こえるかもしれない。
ただ、企業・学生・大学の三者を行き来してきた立場から言うと、これは巡り巡って実利になる。
学生に「考えさせてくれた会社」の評判は、後輩へ、大学へ、確実に伝わっていく。
採用活動は選抜であると同時に、若者の意思決定を支える社会的な機能でもある。その自覚がある会社は、短期的にも中長期的に採用成功している。
採用研究所 谷出正直
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